ちょっと覚えておきたくて [ニュースより]
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/yomawari/
(中日新聞より)
天国はこころに 亡き人思い出そう
2009年8月10日
子どもたち、もうすぐお盆ですね。お盆のこと、知っていますか。亡くなったご先祖たちが、1年に1度、あの世からこの世に戻ってこられる時です。家の前で迎え火をたき、ご先祖たちを迎え、そして送り火でお送りします。有名な京都の大文字は、この送り火です。仏壇にはその期間中、お花やさまざまなお供えをします。
私は、お盆になると、いつも亡くした子どもたちのことを1人1人思い出します。今日は、1人の少年のことを思い出しました。
私は、20代のころ、からだの不自由な子どもたちの学ぶ高校で働いていました。あのころは養護学校といいましたが、今は、特別支援学校と呼ばれています。そこで「倫理」という科目を教えていました。「倫理」とは、古今の有名な思想家の思想を学ぶことを通して、生きることの意味やどう生きるべきかを学ぶ教科です。
その授業を、山本君という1人の筋ジストロフィーの生徒が受けていました。みなさんは、この病気を知っていますか。筋ジストロフィーは、からだの筋肉が徐々に脂肪化していき、最後には心臓までその筋肉としての働きを止め、死に至る病気です。
今は、さまざまな治療法が発見され、以前よりはるかに延命できるようになりましたが、当時は、ほとんど有効な治療法が無く、5歳から6歳で発病し、10代後半から20代で死に至る病でした。
その彼が、私に授業で聞きました。「先生、あの世ってあるのかなあ。僕は、天国に行けるかなあ」。当時の私は、正直に言いますが、あの世の存在は信じていませんでした。でも、すぐに答えました。「あるさ、山本君。君は、いい奴(やつ)だから天国。でも先生は、きっと地獄だよ」
彼は、笑いながらこう言いました。「先生、僕先に行って天国で神様に頼んであげる。水谷先生はいい人だから、天国に呼んでねって」。クラスのみんなで、少し泣きました。彼は、その半年後に亡くなりました。私は、彼のお葬式で、彼に何度も謝りました。「ごめん、水谷は嘘(うそ)をついたよ」と。でも、子どもたち、山本君は、今天国にいます。私は、いつも彼と話しています。
「山本、君は今天国にいるよ。君は、私のこころの中にいつも生きている。とても優しく思いやりのあるいい生徒として。山本、きっとこれが天国なんだ。人のこころにいい思い出として生き残ることが」
子どもたち、このお盆、亡くした家族や仲間のことをいっぱい思い出しませんか。美しい優しい思い出とともに。それが、亡くなった人たちを天国に送ることです。そして、君たち自身も将来この天国に行けるように、いいこと、優しいこと、いっぱいしよう。
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この方も、実は重い病気にかかられていて、もう余り先がないと聞いています。
本物の優しさを持ちえた方だと思います。
(中日新聞より)
天国はこころに 亡き人思い出そう
2009年8月10日
子どもたち、もうすぐお盆ですね。お盆のこと、知っていますか。亡くなったご先祖たちが、1年に1度、あの世からこの世に戻ってこられる時です。家の前で迎え火をたき、ご先祖たちを迎え、そして送り火でお送りします。有名な京都の大文字は、この送り火です。仏壇にはその期間中、お花やさまざまなお供えをします。
私は、お盆になると、いつも亡くした子どもたちのことを1人1人思い出します。今日は、1人の少年のことを思い出しました。
私は、20代のころ、からだの不自由な子どもたちの学ぶ高校で働いていました。あのころは養護学校といいましたが、今は、特別支援学校と呼ばれています。そこで「倫理」という科目を教えていました。「倫理」とは、古今の有名な思想家の思想を学ぶことを通して、生きることの意味やどう生きるべきかを学ぶ教科です。
その授業を、山本君という1人の筋ジストロフィーの生徒が受けていました。みなさんは、この病気を知っていますか。筋ジストロフィーは、からだの筋肉が徐々に脂肪化していき、最後には心臓までその筋肉としての働きを止め、死に至る病気です。
今は、さまざまな治療法が発見され、以前よりはるかに延命できるようになりましたが、当時は、ほとんど有効な治療法が無く、5歳から6歳で発病し、10代後半から20代で死に至る病でした。
その彼が、私に授業で聞きました。「先生、あの世ってあるのかなあ。僕は、天国に行けるかなあ」。当時の私は、正直に言いますが、あの世の存在は信じていませんでした。でも、すぐに答えました。「あるさ、山本君。君は、いい奴(やつ)だから天国。でも先生は、きっと地獄だよ」
彼は、笑いながらこう言いました。「先生、僕先に行って天国で神様に頼んであげる。水谷先生はいい人だから、天国に呼んでねって」。クラスのみんなで、少し泣きました。彼は、その半年後に亡くなりました。私は、彼のお葬式で、彼に何度も謝りました。「ごめん、水谷は嘘(うそ)をついたよ」と。でも、子どもたち、山本君は、今天国にいます。私は、いつも彼と話しています。
「山本、君は今天国にいるよ。君は、私のこころの中にいつも生きている。とても優しく思いやりのあるいい生徒として。山本、きっとこれが天国なんだ。人のこころにいい思い出として生き残ることが」
子どもたち、このお盆、亡くした家族や仲間のことをいっぱい思い出しませんか。美しい優しい思い出とともに。それが、亡くなった人たちを天国に送ることです。そして、君たち自身も将来この天国に行けるように、いいこと、優しいこと、いっぱいしよう。
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この方も、実は重い病気にかかられていて、もう余り先がないと聞いています。
本物の優しさを持ちえた方だと思います。
2009-08-13 02:33
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